年功序列が生んだ家計のリスク回避
我が国の家計は、金融資産運用において著しくリスク回避的であるといわれています。
この主な要因としては、
(1)日本的雇用慣行
(2)住宅資産保有
(3)金融知識の不足
の3つが考えられます。
この中でも特に大きな要因としてあげられるのは(1)日本的雇用慣行であり、これと(2)、(3)との相互作用により、日本の家計の「リスク回避」姿勢を作り出してきたのではないかと思います。
戦後長い間、日本では「終身雇用・年功序列」といった慣行が支配的でした。雇用は一度会社に入れば一生安泰、所得は年をとるにつれて右肩上がり、という状況が続いてきたのです。
「労働力」は家計にとって一種の運用資産です。そして「労働力」は期待リターン(将来の所得)がきわめて高く、リスク(所得の増減、休職、辞職、解雇)は限りなく低い、素晴らし資産だったのです。こうした状況下では、家計があえて金融資産のリスク資産ウエイトを上げることで高い収益性を求める必要はありません。
また年功序列賃金の下では、20歳代から40.歳代前半にいたるまで生産性を下回る所得に甘んじなければいけない状況が続きますので、投資余力など生まれようがありません。重い住宅ローンや子供の教育費などを踏まえなければなおさらです。
一方、40歳代後半から50歳代に至る層は所得が増加すると同時にこうした費用が減少、大幅な投資余力が生まれます。一般的に、若年層ほどハイリスク・ハイリターンの資産の比重を、年をとるにつれてローリスク・ローリターンに資産比重を高めるべきといわれています。
いびつな所得分配とこうしたファイナンシャル・プランが組み合わされば、リスク資産にお金が向うはずがないのです。

労働力のリスクが上昇
もっとも、近年急速に進行しつつある雇用流動化・成果報酬制の導入がこうした状況を変えることが予想されます。つまり「労働力」はリスクが上昇する一方、期待リターンの低下が顕著となるなかで、年金をはじめとする社会保障費に関する不安も残る。
一方、平均寿命は確実に伸びている。こうした状況を合理的に勘案し、ある程度満足のいく老後過ごすためには、相応のリスクを取りながら、保有する金融資産で従来以上の収益率を求めざるをえません。「お金のために働く」だけではなく、「自分のためにお金を働かせる」ことも必要な時代が来てます。
投資信託を巡る環境は、制度・販売チャネルが変わり、商品も多様化しています。そして、購入者である家計を巡る環境も大きく変わってるのです。

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